世界中にあふれるグローバルな課題について学びながら、世界に関心を向けていくワールド・スタディーズの授業。
今回は、12年生(高校3年生)30名が、生活支援ロボット研究のスペシャリスト、サザン・ニューハンプシャー大学教授ランディ・ルイスさんに講義を受けました。
講義のテーマは、「ロボットと人間は共存できるか?」。
ルイス教授が特に力を入れている、自閉症児や高齢者のための“セラピーロボット”の事例から、“共存”の可能性と今後のロボット研究の課題について考えました。
教授は、「私はロボットをつくることよりも、どのようにロボットを活用するかに重点を置いています」と前置きしてから、実際にプログラムをその場でつくり、ロボットがどう動くのかをデモンストレーション。
動きの指示を組み合わせてプログラミングすると、寝ていたロボットが眠そうに起きあがり、ダンスを始めました。その姿に、生徒たちからは、「おお〜」「かわいい〜」と歓声が上がります。
この技術が応用され、自閉症児や高齢者のための“セラピーロボット”がつくられます。
自閉症の子どもたちにとってロボットはとても興味をひかれるおもちゃであり、リアクションや質問によって、楽しみながらコミュニケーションを学ぶことができます。また、話し好きな高齢者のよきパートナーにもなるそうです。
なぜこのようなロボット研究をしているのか?教授は振り返り、こう話されます。
「ロボット研究のスタートに大きなきっかけはありませんでした。しかし今では、ロボットに強い興味を持ち、誰かの役に立ちたいという想いで研究に打ち込んでいます。自閉症の子どもがロボットとコミュニケーションする姿を見て、思わず涙をこぼしてしまうこともあるんですよ」。
笑顔を浮かべてそう語りかける眼差しからは、研究にかけるルイス教授の想いが伝わってきました。
曖昧な発音の言葉は聞き取れなかったり、うなずくなどの簡単なリアクションしかできなかったりと、まだまだ多くの課題が残されているロボット研究。山積みの難問はありますが、10年進んでいると言われる日本のロボット研究からも多くのことを学びたいそうです。
講義が終わると多くの質問が飛び交いましたが、長年研究してきた中で一度も考えたこともなかった質問に、「素晴らしい質問をしてくれてありがとう。さっそく次の研究のテーマにしようと思います」と答え、そこからも研究者としての純粋な姿勢が生徒たちに伝わりました。
「興味ある分野で力を尽くして社会に貢献したい」。そう考えるルイス教授の研究が、世界の課題のひとつを解決していることを知り、生徒たちの学びがまた一歩前進しました。