60名近い生徒が集まった今年12回目のグローバルキャリア講座。 今回は、世界中から未来のリーダーを目指す人たちが集まる、政策研究大学院大学の研究生のみなさんを招いて開催されました。
5人それぞれに自己紹介をした後、代表としてイブラヒム・ズフーリさんが、ご自身のキャリアや母国モルディブ共和国のために行ってきた活動についてお話しされました。講義のテーマは、「交渉すること」。
モルディブ共和国に生まれたズフーリさんは12歳で国を離れ、オーストラリア、ネパールに移住して勉学に励みました。母国に戻って外務省などでキャリアを積んだ後、新たな可能性を求めて来日し、経済政策について研究されています。
「私が新しい場所を訪れるのは、そこで新しい経験や挑戦ができるからです。目の前に敷かれたレールの上を進むのではなく、リスクを取ってレールから外れる行動も必要だと思っています」。ひとつの場所に留まらず、各地に移り住んできたズフーリさんだからこその言葉に、生徒たちもうなずいて聞いています。
モルディブ外務省や南アジア地域協力連合の関係者として、他国と数々の交渉を重ねてきたズフーリさん。中でも、地球温暖化の影響で、海面上昇という危機にさらされるモルディブを救う活動に力を入れてきました。
モルディブの現状をあまり問題視していない他国に理解してもらうための交渉は難しいことも多く、その度に、「Less Talking, More Action(ただしゃべるだけよりもアクションを起こそう)」と自分に言い聞かせてきたそうです。
行動することでキャリアを切り開き、モルディブの未来のために行動し続けるズフーリさんの原点には、故郷モルディブの未来を思う愛情が込もっているようでした。
「きれいで安全で、たくさんの発明やテクノロジーを持つ素晴らしい国に暮らすみなさん。ぜひ積極的にアクションを起こしてください」。講義の最後は生徒たちへのメッセージを伝えます。
ズフーリさんから伝わってくる真摯な想いや強い信念、未来への希望。それらを原動力にしたエネルギーあふれる語りは、人や物事を動かす“交渉力”そのものでした。 生徒たちは、その力に直に触れることで、未知にチャレンジし、アクションするための大きな勇気を受け取っていました。