グローバルキャリア講座

“人に寄り添い、行動を起こす”ということ

May 14, 2015

夏の訪れを感じさせる暑さとなったこの日、第4回のグローバルキャリア講座が行われました。
アフガニスタンの民族衣装に裸足という出で立ちで登場されたのは、今回の講師、内閣府国際平和協力本部事務局の三田真秀さん。

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今回は「人権」と「国際協力」をテーマに、赤十字国際委員会(ICRC)の国際救援職員として携わった刑務所での人道支援活動を軸にお話していただきました。

昼食時の講座であるため、「悲しい話も多くありますが、食事が進められるように話したいと思います」とみんなを気づかうひとことに、相手の立場や周囲の状況にいつも気を配ってこられたことが感じられます。

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自己紹介の後、「紛争がはじまった地域では、不当な理由で捕まって拘束される人や、刑務所の中でひどい扱いをされる人がいます。私がしていたのは、そのような紛争の影響を受けた人々に“寄り添うこと”でした」と、仕事の内容とともに、そもそも人道支援とは何なのかからお話がスタートしました。

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「“寄り添うこと”は、相手の立場、気持ちになって考え、共感し、対等な人として接することだと思っています」と、最近それについてあらためて考えさせられた電車の中での出来事を紹介。生徒たちは、自分たちにも身近な場所でのエピソードに、「人道支援」は決して限られた場所での話ではなく、どんな場所でもどんなことでも行動できることに気づいていきました。

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三田さんは刑務所での人道支援の仕事を、順を追って説明していきます。
まず大切なのは被拘禁者と対話をすること。「家族と連絡は取れるのか?」「食事はきちんとできているか?」「暴力など非人道的な扱いは受けてないか?」そういった質問をしながら、彼らのために何ができるのかを考え、行動に移していきます。

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対話によって健全でない状態がわかれば、その刑務所の所長と話して改善を促します。被拘禁者の要望で、家族を探して電話でつなげることもありました。そして、5年ぶりに家族との面会が実現したときは、涙が出るほど感動的な瞬間だったと振り返ります。

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紛争地の最前線でさまざまな活動を行っている赤十字国際委員会は活動内容の詳細な報告書を一般に公表していません。それは公表することで、今まで入ることのできた場所に入れなくなり、本当に困っている現地の人々を助けることができなくなってしまうこともあるからだそうです。また、自分自身の安全を守るのも、自分たちを待っている人を助けるためなのだという三田さんの揺るぎない姿勢が、会場に“共感”の輪を広げていきました。

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そして、三田さんの体験を通した話を真剣な眼差しで聞く生徒たちに、“人道支援とは何か?”という深い理解が届けられました。

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お話の最後には、「知って終わりではなく、ぜひ積極的に行動をしてほしい」とメッセージ。講義後の質問には、「海外でのインターンはどういうことをされたんですか?」、「国際機関は大学院を出る必要がありますか?」といった、自分自身が行動に移すために具体的なことを知りたいという気持ちの表れたものが続きました。

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世界にはいろいろな立場や使命で活動する人々がいて、知らないところで困っている人の役に立っている。そのために自分から「誰かを思い、積極的に行動を起こす」ことが必要だという気持ちが刺激された講義でした。

 

Lecturer Profile
三田真秀
Masayoshi Mita
内閣府国際平和協力研究員。青山学院大学法学部公法学科卒業、ジュネーブ大学国際人道法研究所修士課程修了、ルーヴァン・カトリック大学国際法研究所博士課程在籍。外務省国際人権・人道法調査員、カンボジア特別法廷インターン等を経て、赤十字国際委員会(ICRC)国際救援職員として、パレスチナとアフガニスタンにおける人道支援に従事。2015年1月より現職。