第3回グローバルキャリア講座は、関西学院大学国際学部教授の関谷武司先生に、グローバルに活躍する人材とはどうあるべきか、そして“世界”とは何かをお話いただきました。
関谷先生の講義を聞くのは11年生(高校2年生)。すぐ先に控えた大学での学びや、その後の進路を身近なものとして捉える機会になりました。
関西学院大学は、国連などの国際機関に最も多くの人材を輩出している大学であり、講師の関谷先生の関谷ゼミでは、国連のスタッフとして大学生を派遣する画期的な取り組みをしています。
今回の講義は、大学で行われている90分の授業を、約半分の時間に凝縮しての内容。先生の明晰な口調と相まって会場の空気も引き締まり、気持ちよい緊張感と集中力を持って講義が進められました。
「“世界”と聞いて頭に浮かぶ国はどこか?」と聞かれた生徒の答えは一様にアメリカやヨーロッパ。これは大方の日本人のイメージすることで、日本人にとってそれ以外の国は“世界”として認識されていないという事実を、まず実感をもって受け止めます。
そして、「日本は島国であることや歴史的背景から単一的な価値観を持ち、欧米諸国を目標としてきたため本当の“世界”を知らず、日本国内のことさえ知らない状態になっている。だから今、世界に出ていくことが必要である」と明確な問題提起がなされました。
続いて、「それでは“世界”の学校を覗いてみましょう」と、ガーナ、パプアニューギニア、ホンジュラス、ガテマラなどの写真とともに、そうした地域での学校の現状を紹介。「今ここでこのような講義を受けているということは、世界の中でもエリートであるということ。そしてエリートとは、自分のことだけを考えていてはいけないということ。だからこそ、世界を鏡として日本を見ることのできる目を養わなくてはいけない。これが、日本人が世界に出ていかなくてはならない理由です」という先生のことばは、生徒全員に強く響いていました。
続いて、ゼミでやっている「自分探しの9つの質問」という課題を見ていきます。やりたいことは?なぜそれをやりたいのか?夢は?やるべきことは?・・といった質問に、会場の生徒たちも同じように考えていきました。
みんなが考え終えると、「これは実はアフリカの少女のためにつくった質問」、と彼女の回答を見せる関谷先生。
アフリカの少女は、自分が国のために役立つように医者になりたい、と答えていました。自分の達成より、どうしたらまわりの人を助けられるか、役に立てるかが綴られた少女の回答に、生徒たちは静まりかえりました。
先生は続けます。「私のゼミの学生たちも、彼女の回答を見て、自分中心の考え方、視野の狭さに気づいたんです」。
その後は、ナミビアに派遣した女子学生のムービーを視聴。現地で活き活きと活躍する同世代の日本人の姿に、生徒たちは大きな刺激を受けていました。
最後の質疑応答タイムでは、「理系に進みたいのですが、理系も国際ボランティアに役立てますか?」「日本人は技術を求められることが多いので、正解ですね!」「世界ではどんな技術、スキルが必要とされますか?」「とてもいい質問。ジャパンスタンダード=日本の常識ではなく、その国に必要な技術を現地で見て自分で考えて協力することが、本当の国際協力になる」といった、とても有意義なやり取りとなりました。