今回実施された第4回グローバルキャリア講座では、「国境なき医師団(MSF)」海外派遣スタッフの小林さよりさんに講演していただきました。国境なき医師団(MSF)は、国際的な民間の医療・人道援助団体です。紛争や自然災害、貧困といったさまざまな理由で保健医療サービスを受けられない人々を援助しています。
小林さんは、なぜ自分がMSFで働くことになったかを、小さいときからのご自身のストーリーを追ってお話ししてくださいました。
はじまりは15歳の頃、キリスト教の学校に通っていたこともあって、「何か人の役に立つことをしたい」と考えるうちに、ある日突然電車の中で「難民キャンプで医者として働きたい!」とひらめいたこと。
今回講座を受けた生徒たちと同じ年頃のできごとに、みんな目を輝かせて聞いていました。
その後小林さんは、さまざまな国に派遣されて医師として働いてきましたが、この日の講演では、内戦状態だったパキスタンや南スーダンに行ったときの実体験を詳しく紹介。
パキスタンでは、内戦状態だったために、人の命を守ることと同時に自分自身の命を守る必要があり、現場スタッフも毎日安全確保のためのミーティングをしていたそうです。
時には居住施設の近くで危険な銃撃戦があり、自分たちの居場所も狙われるので、外に出ることはおろか、窓の外を見ることもできなかったとのこと。
そのような大きな危険も伴う仕事ですが、小林さんの人生は充実しています。「生徒のみなさんにも私のように紛争地域に行けとは言いませんが、ぜひ世の中をたくさん見てほしい。平和な日本で過ごしているとつい忘れてしまうけれど、そういう国や地域があることを知り、こういう活動があるんだと知ってほしい。また、自分がそうであったように、自分が人生で何をしたいのか、それを今高校生の時にぜひ考えてほしい」と力強いメッセージが伝えられました。
生徒たちの進路へのアドバイスとしては、「日本だと、大学は遊んだりアルバイトしたりすることが多いけれど、それよりもまず自分が何をしたいのかを考え、目標に到達するために大学を活用してほしい」「今は手軽に情報が手に入る時代なので、ネットや本で調べてわかったような気になったりするけれど、私も実際に行ってはじめて知ったことがたくさんあった。ぜひみなさんも自分の目で見て肌で感じて学んでいってほしい」とお話しいただきました。
とてもわかりやすく、物腰柔らかに、小林さんが歩いてきた道、生きてきた世界を伝えていただいたことで、生徒たちの胸にも将来への深い想いが芽生えたようでした。