国連児童基金(UNICEF)東京事務所が主催する、『UNICEF×日本のユース 対話イベント』が東京大学駒場キャンパスで開催されました。
SGH取り組み校の玉川学園高等部と御茶ノ水女子大学付属高校の高校生4名、日本の大学生19名が参加し、持続可能な開発目標(SDGs)のひとつ「公平性」をテーマに、ユニセフ本部の幹部職員と真摯に議論。
すべての対話は英語で行われ、国ごとの隔てなくスムーズなコミュニケーションが行われていました。
「2030年のSDGsの達成には創造性に富んだ若者の力が必要であり、今日はみなさんからいろいろと学びたいと思います」と開会の挨拶をされたのは、UNICEF本部保険セクションチーフのステファン・ピーターソンさん。
続いて、外務省国際協力局地球規模課題総括課長の甲木浩太郎さんも、「社会をよりよくするアイディアを出せるようなクリエイティブな力に秀でた若者と、経験豊富なUNICEFと協力していきたい」とお話され、和やかな雰囲気のなかイベントがスタートしました。
まずは、「公平性」の実現に向けた、大学生たちの取り組みの紹介から。
全日本大学サッカー連盟と、東京大学の学生を中心に起ち上げた団体『UNiTe』が、それぞれの活動内容を発表しました。
全日本大学サッカー連盟は、「誰かの光になれるように」という想いを込めた『HIKARIプロジェクト』の貢献活動と、連盟主催の全国大会で1ゴールにつき500円を寄付する『Team UNICEF×JUFA -ONE GOAL ONE COIN-』というユニセフ募金のことを伝えます。
学生団体UNiTe は、シャイな日本人が、障がい者や妊婦といった人々を支援しやすいように考案したシンボル「マゼンタ・スター」を中心にした『EMPOWER PROJECT』の活動を、事例とともにプレゼンテーション。
日本の学生の柔軟なアイディアに、各国のユニセフ職員のみなさんから、驚きの声が上がっていました。
次に、ユニセフ本部公的パートナーシップ局長のカーラ・ハダッド・マルディニさんと、UNICEFミャンマー事務所代表の功刀純子さんによるプレゼンテーションが行われました。
マルディニさんは、ユニセフがどのように子どもを支援しているのか、「共創プロセス」というモデルを示しながら説明。
功刀さんは、ミャンマーの現状と、ソーシャルメッセージングツール「U-Report」を使った調査活動の結果について報告されました。
参加した生徒・学生たちは、UNICEFの支援の方法や現場での取り組みなど、普段聞くことができない話を直接聞き、国際貢献への視野を広げていきます。
プレゼン後の質疑応答では玉川学園の生徒も積極的に質問。「子どもが守られていない国の文化的な価値観や考え方をどうしたら変えられますか?」など、公平性の実現のための活動や、それを広める方法について参加者と意見を交換しました。
プレゼンの後は、「不平等をなくすために、若者として必要な行動は何か?」「ユニセフとどんな活動をしたいか?」という問いかけからディスカッションが行われました。
「各国の政府に働きかけることか、草の根運動のような取り組みか、若者としてどちらをするべきか?」「ユニセフはどのような働きかけや支援をしているのか?」「さまざまな社会問題に関心があるが、ひとつに絞るべきでしょうか?」。そうした参加者からの質問・意見に、ユニセフの方々は、ご自身の体験や先輩から受けたアドバイスも引用しながら、若者と同じ視線に立って回答。白熱したディスカッションは、あっという間に終了時間を迎えました。
「SDGsの達成にはみなさんの力が必要です。みなさんの活動のひとつひとつが、世界の子どもたちにとっての変化につながっています」
UNICEF中東・北アフリカ事務所代表ゲールト・カッペラエレさんが閉会のメッセージを伝えて、今回の対話イベントは終了。その後もしばらく、参加者とUNICEFの方が熱心に意見交換する姿が見られました。
国際的な組織で問題の解決のために第一線で働く人の考え方を知り、熱意に触れた参加者たち。誰もが公平で幸せな世界をつくるために、若い世代として「自分にできること」を強く意識し、考えを深める有意義な時間を体験しました。