グローバルな世界で活躍するための力や考え方を身につけるため、生徒たちが実行委員会をつくり企画・運営する「たまがわ会議」が開催されました 。
7月11日から13日の3日間、約45名の生徒が、さまざまな講義やワークショップをとおして、今年のテーマである「環境」について考え、ディスカッション。多様な視点と、より深い理解を体得しました。
1日目は、ユニクロ鶴川店店長の佐々木真緒さんをお迎えして、ユニクロが主催する「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」についてのお話を聞き、ワークショップを行いました。
「衣服は身体を守る重要な役目を果たすもの。けれども難民たちは、たった一枚の粗末な服しか持っていないのです」と伝える佐々木さん。難民の窮状を知り驚いた生徒たちの間には、「何か行動を起こしたい」という空気が広がっていきます。
続いてのワークショップでは、特に不足しているこども服を集めるために、保育園・幼稚園生に服の力や難民のことを伝える方法を考えて、こども服を回収する段ボール箱の装飾を行います。
箱が完成したら、こどもたちが服を寄付したくなる工夫とともにプレゼン。難民の気持ちを考えるゲームや、支援することでヒーローになれる物語などを、小さなこどもたちが楽しめるように、身振り手振りで一生懸命に伝えました。
2日目は、特定非営利活動法人アイセック・ジャパンの大学生による出張授業からスタート。生徒4~5名のグループにファシリテーター役の大学生が入って、講義とワークショップ、ディスカッションを行いました。
講義をするのは、早稲田大学文化構想学部2年生の横澤魁人さん。6週間のインターンシップ体験をしたフィリンピンで目の当たりにした「ごみ問題」について、現地で撮った写真を紹介しながら伝えていきます。
「フィリピンではごみの焼却が法律で禁止されているため、どんどんたまっていってしまいます。しかし、国の方針は、ごみ問題の解決にお金をかけるより情報関連技術を発達させること。服を着られないこどもがアイフォンを持って物乞いをしてくるようなことが日常的にありました」。生徒たちは、にわかに信じがたい光景を想像しながら、真剣に耳を傾けます。
講演後のワークショップは、日本のごみ問題についての簡単なレクチャーを受け、「どうすればごみが減らせるか?」「根本的な解決策は何か?」といったことを、大学生と一緒に考えました。
「レシートをまとめて、どんなものが買われたかのデータを集める。そして企業は無駄なものを生産しないことが必要です」 「日本人は、服を1シーズンしか着ないで“ごみ”と判断するものが多いことが、ごみが多くなる原因だと思います」など、最後にそれぞれのグループで話し合ったことを発表。大学生たちが驚くような柔軟なアイディアが交わされました。
「歳の近い人から話を聞けて、内容に親しみが持てました」「大学生になったら、自分も行動してみたいと思いました」。ワークショップ終了後にも、横澤さんに直接質問をするなど交流し、おおいに刺激を受けていました。
2日目の午後は、「アフリカの水問題」をテーマにした模擬国連を開催。水問題に関連するアフリカ14ヶ国から担当する国を選び、その国の代表として、“すべての国が利益を得ることができる”ための話し合いを行います。
「アフリカ全体にきれいな水が行き渡るように考えてください」という議長の指示で会議がスタート。
「自分たちの国でできる方が自立が保てると思います」「国同士でお金をやり取りするのではなく、先進国の資金援助を受けられる組織づくりを提案します」。近い主張を持つ国同士が集まり、いくつかの話し合いの輪がつくられます。
次第に熱を帯びながら議論は核心に迫っていきます。最後に国同士の意見をまとめ、DR(Draft Resolution)と呼ばれる決議案を提出。しかし、規定数を超える支持が得られず、決議案の受理は拒否される結果になりました。
まとめに模擬国連経験者でディレクターを務めた生徒が、今回の反省点とおさえるべきポイントについてのアドバイスを伝えて閉会。「国」という立場と、「世界」という大きな視点で環境問題を考える体験から、さまざまな気づきを手にしました。
3日目は、「玉川アドベンチャープログラム(TAP)」とディベート、ワークショップを実施。はじめにTAPで体と頭を使いながら各メンバーと交流した後、グループで賛成・反対の立場に分かれて環境問題についてディベート。
ディベートのテーマは、「レジ袋を全店舗で有料にすることに賛成か反対か」「街中のごみ箱を撤去することに賛成か反対か」など。賛成・反対両方の立場から、主張と反論を繰り返すことで、身近な環境問題に関して視野を広げました。
昼休憩を挟んで午後のワークショップは、環境問題について訴える姉妹のプレゼン映像を視聴することから開始。「同じ年代の小さな取り組みでも世界を変えることができる」という実例を知り、「自分たちにできること」を考え、どのように実行するかを発表するという課題に取り組みます。
学園祭のごみ削減の具体的な方法を考えたり、ペットボトルや新聞紙を使った自作の濾過装置をつくったり、グループのメンバーそれぞれが創造性を発揮し、ユニークな解決策をつぎつぎに考案。
寸劇や絵、実演など、工夫を凝らしてプレゼンテーションし、充実した3日間の取り組みのすべてを締めくくりました。
閉会式で、この活動を企画した実行委員会のメンバーが、「ここで考えたことを、これからも意識して環境問題に取り組んでください」というメッセージを伝え、参加者全員が想いを新たにしました。
環境問題に対して、さまざまな視点から学び、話し合い、自分たちにできる「アクション」を考えた3日間。
「環境問題を解決する」ことへの想いを共有し、より強い絆を紡ぎました。