グローバルキャリア講座

“理想像”が導く、アフリカへの未来

May 14, 2018

今回のグローバルキャリア講座の講師は、海外での活動を目指してがんばっている先輩、玉川学園卒業生で、上智大学外国語学部 3年生の本杉佳子さん。
玉川学園から大学での生活や、これまで関わってきたアフリカでの活動とそこから学んだことについてお話しされました。

P1510646

「みなさん、まずは少しだけ目をつぶって大学生活を思い浮かべましょう。どんな授業がいいですか? どんなキャンパスがいいですか? ワクワクしていますか? では、目を開けてください。どうでしたか? 自分の理想像を描くことはとても大事なことです」。

明るく朗らかな声と、“理想的な大学生活”をイメージするという行為にいざなわれ、生徒たちは冒頭から講義に引きつけられていきます。

P1510554

P1510840

幼稚部から過ごしてきた玉川学園で、さまざまな海外体験の機会も得てきた本杉さんが、アフリカに興味を持つきっかけになったのは、高校1年の時に短期交換留学した南アフリカでの体験でした。
学校の枠の関係で決まったため、あまり興味のなかった南アフリカでしたが、アパルトヘイトの現実を目の当たりにして大きな衝撃を受けます。

P1510833

「3か月の間、何度もスラム街を見て過ごしましたが、そこで困っている人たちのために私は何もすることができませんでした。でも、いつか自分にも何かできないかと強く思うようになりました」と、その時の想いを振り返ります。
本杉さんは、この経験を機に、“アフリカに関わる仕事をする”ことを意識しはじめ、自分の理想像として目標に定めていきました。

P1510573

帰国後、模擬国連やラウンドスクエアの活動に積極的に参加してアフリカに関する知識を広げ、国連機関に大学生を派遣するプログラム「国連ユースボランティア」と提携している上智大学に進学。理想像に向かって日々精力的に活動する中で、「知識」「経験」「自信」を得ることの大切さに気づいていきます。

P1510579

国際政治経済などの講義を受けたり、海外ボランティアに参加して「知識」や「経験」を深め、さまざまな大学生たちと会って互いの活動を伝え合うことで得た「自信」が、さらなる「知識」と「経験」につながり、加速度的に成長していくのを実感したという本杉さん。

「知識、経験、自信の3つが掛け合わさることで自分自身が成長し磨かれて、“自分にしかできないこと” “自分にしか生み出せない価値”をつくることができると思います」と伝えます。

P1510619

P1510859

「ボランティアで派遣されたジンバブエでは、ハイパーインフレによって人々の生活に大きな混乱が起こっていました。国の経済政策の失敗が、国民の生活を直撃することを肌で感じました」。

その体験から、“国の経済”が与える影響力を知った本杉さんは、大学院で開発学を学ぶことも視野に入れながら、「経済」の観点から社会構造をひもとくための勉強に注力しています。

P1510814

「今、将来を描くのは難しいかもしれませんが、仮でもいいので想像してみてください。私はアフリカに関わっているとワクワクしますが、みなさんも自分がワクワクする将来像を描けば、それが行動の原動力になっていきます。それを強く意識しながら悔いのない大学生活を謳歌して、悔いのない人生を送りたいと思いますし、みなさんにもそうあってほしいと思っています」。

最後に伝えたメッセージに込められた実感と熱いエールは、後輩である生徒たちひとりひとりの胸に響いていました。

P1510789

P1510740

「今は、アフリカの何にいちばん興味がありますか?」「IBクラスの勉強は大学でどう役立ちますか?」「英語力をどうしたら伸ばせますか?」。講義後、たくさんの生徒たちから質問の手が上がります。本杉さんは、アフリカのことはもちろん、進路などに関心を寄せる後輩たちにも、卒業生ならではの経験をふまえて優しく丁寧に答えていました。

P1510875

P1510890

理想像を描き、その実現に向かって一歩一歩着実に前進を続ける先輩の姿に、そう遠くない自分の姿を見い出した生徒たち。これからの進路やキャリア選択を考え、それぞれの理想の未来に進んでいくための勇気を手に入れました。

Lecturer Profile
本杉佳子
Kako Motosugi
2016年玉川学園高等部卒業。国際バカロレア(IB)クラスに所属し、在学中に南アフリカ共和国への短期交換留学を経験。アフリカ地域の社会課題へ強い興味を持つようになり、模擬国連やラウンドスクエアの活動などに取り組む。上智大学外語学部に進学し、単身によるシエラレオネでのボランティアなど精力的に活動。2017年には、大学の提携する国連ボランティア(UNV)に選出されジンバブエ共和国に派遣。