2018年度最初のグローバルキャリア講座が開催されました。
参加した9年生の生徒たちにとっては、はじめてのグローバルキャリア講座。どんな話が聞けるのだろうかとワクワクした表情で教室に集まりました。
最初の講師としてお迎えしたのは、国際通貨基金(IMF)のシニア広報マネージャーとしてご活躍されている関岡智美さん。
国際通貨基金(IMF)が世界に果たしている役割や、広報としての仕事についてお話いただきました。
まず、IMFの歴史や世界での役割について説明していきます。時折り質問をしたり、例え話を交えてのお話はわかりやすく、生徒たちの関心を引きつけます。
「財政が悪化した国にIMFが融資するお金は、日本など加盟国から支払われます。つまり、みなさんにとって決して無関係ではありません」
IMFが世界で果たす役割である、「サーベイランス(経済監視)」「融資」「技術協力」の解説から、自分たちと意外に近いところでつながっていたことを知った生徒たち。自分との関連も意識しながら講義に耳を傾けました。
また、関岡さんは、前職で記者、広報として活動されていた体験で得た物事の見方を踏まえ、「外からどう見られているのかを考えること」の大切さを伝えていきます。
「組織としてそのような意図はなかったとしても、その国の歴史や宗教、文化を知らないと、それを受け取った人を傷つけてしまうことがあります」
制作者が意図せず差別的な表現になっていたり、不適切なデータを用いたことで炎上”した広告を例に、多くの人に何かを伝えるとき大切なのは、「見た人がどう受け取るかを思いやること」や「客観性と信頼性」なのだと語りかけます。
そして、「客観性と信頼性」という目線で見てみたとき、日本の組織が開催するセミナーや会議では“違和感”を感じることが多いと続けます。
例えば、女性の活躍を推進するための会議のスピーカーが男性だけで構成されていることがあります。これでは客観的に見ると、本当に女性の意見が尊重されるのかどうかと疑問が残ります。
一方、国際的な機関では、アジアの経済状況について話し合う会議には必ずアジア地域からスピーカーを招くなどなど、ジェンダーや国籍といった参加者の属性に配慮して参加者を選んでいます。
「『このような参加者で会議を行います』というときに、外からはどう見えるだろうということを考えるのが、広報にはとても重要です」と関岡さん。
ご自身が実際に体験されてきたこと、現実として見てきたことの実感から伝えられることばは、高い説得力を持って生徒たちに響いていました。
講義後の質疑応答では、生徒たちが感じた疑問を率直に質問。関岡さんの、客観的な事実を踏まえたていねいな解答を受け、講義から一歩踏み込んだ理解を得ていました。
国際機関の第一線で活躍されている方の存在感に、おおいに感化された生徒たち。関岡さんの、経験によって磨かれた眼力と、それに裏打ちされた「広報としての物の見方」に触れ、“グローバルなキャリア”についての視野を広げました。