グローバルキャリア講座

“命を救う仕事”で、続ける挑戦

June 4, 2018

雲ひとつない晴天の下、11年生の生徒たちがホールに集合してグローバルキャリア講座が開催されました。
「進路」が身近な関心事になってきた11年生に向けた講演テーマは、「キャリア形成について」。

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国境なき医師団に参加し、世界各地の緊急ミッションで活動されてきた畑井智行さんから、ご自身の経験をとおして得た、キャリアづくりで大切なことをお聞きしました。

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「おはようございます。…みなさん元気ないですね。もっと声出して、おはようございます!」。
冒頭の畑井さんの声で会場の空気は活気づき、生徒たちは背筋を伸ばします。

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「国境なき医師団を知っていますか?どんなことをやっている団体でしょう?」「みなさんは1日何リットルの水を使っていますか?人が生きていくために最低限必要な水は何リットルでしょうか?」。
まずは、国境なき医師団の活動や派遣先の国々の事情について、現地の映像を映したり質問したりしながら紹介していきます。

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さらに、会場を回り、時には座席のすぐ近くで生徒たちと会話を交わす畑井さん。生徒たちは、緊急を伴う現場など、数多くの海外経験で培われたコミュニケーション力や行動力を、間近で感じ取っていきます。

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そんな畑井さんが世界に興味を抱くようになったのは高校生の頃。“ベルリンの壁の崩壊”など、世界的に大きな変化の波がやってきている時代でした。

進学先は決まったものの特にやりたいことのなかった畑井さんでしたが、テレビで海外のニュースを見るうちに、「自分の目で世界を見たい!」という想いを抱くようになります。そして、高校卒業後、思い切って海外に飛び出し4年間バックパッカーをしながら、ヨーロッパやアジアのNGOで働きました。

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転機が訪れたのは2001年。滞在していたインドで、死者2万人、負傷者数16万6千人と言われる“インド西部地震”に遭遇しました。

困っている人々を助けたいのに助ける術のない自分に向き合った時、「自分が生きるため、放浪をするためにボランティアをするのではなく、誰かの命を救うために仕事をしたい」と思った畑井さんは、あらためて海外で活動することを決意して日本に帰国。8年間、看護師として働き経験を積みます。

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再び海外に行くのを決心したのは、2011年に発生した東日本大震災で、大規模災害の現場に急行する医療チーム“DMAT”として現場医療活動に参加したことがきっかけになりました。

「この緊急医療の最前線の仕事を体感した時、『今が海外に行くタイミングだ』と感じ、国境なき医師団に参加することにしました」と当時の心境を振り返ります。

そこから、2013年の南スーダンへの派遣をかわきりに、大地震の起こったネパールや熊本、中東の紛争地やアフリカ各地の難民キャンプなど、10回以上に渡って緊急ミッション活動を果たしてきました。

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現在は、船内で多国間交流をする“世界青年の船”や、視覚障害の人たちを支援する団体“Pura Vida Japan”にも関わるなど、活動範囲を広げながら、日々さまざまな挑戦を続けています。

「私はいろんなところに訪問しては壁にぶつかって、試行錯誤を繰り返しながら、さまざまな経験を積んできました。ひとつチャレンジしたら、また次のチャレンジが見つかっていく。そうやってキャリアが形成されていきます。みなさんもやりたいことを探して、それに向かってたくさんのチャレンジをしていってください!」

畑井さんの力強いメッセージは、身を持って実感されてきた確かな重みとともに、生徒たちの心にしっかりと響いていました。

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質疑応答では、「親からの反対はなかったのですか?」「自分も将来看護師を考えているのですが、日本と世界の違いはありますか?」といった質問が次々に上がります。

「いつも挑戦に駆り立てるモチベーションはどこから出てくるのですか?」という質問には、「好奇心を持つことですね。そして、人々の手助けをしたいという想い。さらに、各国に行くたびに新しい発見があり、勉強や経験になることだと思います」と回答。
そう言い切る畑井さんの爽やかな笑顔に、生徒たちの表情も晴れやかに輝きました。

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グローバルな現場でコミュニケーション力を発揮し、過酷な環境で人を救う強い想いを持ち、チャレンジを積み重ねていく。
そんな畑井さんの姿勢に大いに刺激を受けた生徒たちは、自分の想いに従い、世界に向かって挑戦する意欲をかき立てられていました。

Lecturer Profile
畑井智行
Tomoyuki Hatai
高校卒業後、4年間バックパッカーをしながらヨーロッパ・アジアのNGOで活動し、2001年インド大地震遭遇を機に看護師を志す。看護師として8年間、赤十字病院ICUと沖縄の離島医療に従事。東日本大震災ではDMATとして参加。2013年より国境なき医師団に参加。エボラ出血熱、ネパール地震、熊本地震、中東の紛争地、アフリカ各地の難民・栄養失調対応などの緊急ミッションを中心に13回活動してきた。現在は、内閣府の世界青年の船事業でも活動。