来年の2月3日と4日に開催される「模擬国連会議」に先立って、初心者向けの「練習会議」が行われました。
「模擬国連会議」とは、定められた議題について、各国の大使になりきった参加者が、実際の国連会議同様に自国の立場で議論・交渉して、決議を採択することを目的とした活動です。
この日は、東京、神奈川、愛知から6校、中学1年生から高校2年生までの約50人の生徒が参加し、23の国の大使として決議の採択を目指します。また、実際に議論を行う大使だけでなく、会議を進行する議長・会議監督も生徒が務めます。今回は「練習会議」なので、要所ごとにルールの説明を挟みながら進行していきます。
議長と会議監督の挨拶から会議はスタート。今回の議題は「シリア情勢」。一気に高まる空気の中、決議案採択に向けた生徒たちの取り組みが動き出しました。
各国の大使は、議題のシリア情勢に対する自国の立場・政策などを事前に調査して会議に臨みます。議長から意見を求められると、割り当てられた国の名前が書かれたプラカードを挙げて、積極的に意見を表明しました。
「ギリシアは財政的に厳しい状況にあるため、他国のみなさんの協力が必要です」「フランスは移民の受け入れには寛容ではありますが、多くは受け入れられない状況です」。
まずは一国ずつ、大使になりきった生徒が自国の意見をスピーチ。他国の大使が話もしっかり聞いてメモを取り、次に自分たちが表明する意見につなげていきます。
スピーチを終えると各国大使の生徒たちは席を立ち、自由に議論・交渉する“アンモデレートコーカス”を開始。具体的な提案を持つ国に賛同した国が集まり利害を調整しながら決議案の提出を目指します。今回は、当事国のシリア、そしてアメリカを中心とする2つのグループに分かれ、両国の大使がリーダーシップを取り議論を進めていきました。
「レバノン大使、ヨルダン大使、ロシア大使の方いますか!?」「私たちが考える最優先事項は停戦なんです」。
時間の制約もある中、声を張り上げて必要なメンバーを集めて互いに利益のある問題解決策を伝えます。集まった大使たちも真剣に各国の意見を聞き、自分たちはどうするべきかを検討し結論を導き出していきます。
意見をスピーチし、全体で議論をしていく“モデレートコーカス”では、議長の仕切りでスピーチと議論を繰り返しながら、“DR(Draft Resolution)”と呼ばれる議決案をつくり上げていきます。
進行の手順を間違えて訂正することもありましたが、会議の専門用語やルールを示しながら、議長と会議監督、スタッフで協力して会議を運営。その間には、上級生が下級生に議論や政策のポイントをレクチャーするなど練習会議らしい場面もありました。
予定終了時間を1時間オーバーするほど白熱した議論の末、シリア、アメリカを中心とした2つのグループが提出した議決案が、それぞれ過半数の賛成を得て可決されました。
最後に、議長や会議監督、サポートをされた先生からの講評と、優秀な取り組みをした国の大使を称える賞の授与が行われ、5時間に及んだ「練習会議」が終了しました。
会議後、学校の枠を越えて交流を深める生徒たち。互いを称え合い、模擬国連会場での再会を誓い合っていました。
国際問題を解決するための議論・交渉のスキルと会議の進め方をトライ&エラーで学んでいった生徒たち。練習だからこそ気づけた「できたこと」と「できなかったこと」、そして切磋琢磨し合える仲間の存在を心に刻み、2月に行われる本番に向けて気持ちを新たにしました。