今年度のグローバルキャリア講座を締めくくるのは、玉川学園の卒業生で、現在立教大学法学部4年生の大倉由莉さん。今、目標としている“夢”について、『挑戦し続けることで見える世界と私』というテーマで後輩たちに伝えました。
「みなさんよりたった4年しか長く生きていませんが、夢に向かってチャレンジし続けている先輩として、まだ夢がない人のために“夢の見つけ方”を、夢のある人のために“夢をどう発展させていくか”を、私の経験を交えながらお話しさせていただきます」と明るい声と笑顔で語りかける大倉さん。
年齢の近い先輩という親近感も相まって、生徒たちはリラックスした雰囲気で耳を傾けました。
玉川学園で過ごした中高時代から、ラウンドスクエア、英語弁論大会、英語のビジネスコンテストなど、学内外を問わずさまざまな活動に積極的に参加し、児童労働問題に取り組む国際協力団体「フリー・ザ・チルドレン」の設立者クレイグ・キールバーガーとの衝撃的な出会いをきっかけに、「自分も社会をよくしたい!」と強く考えるようになった大倉さん。
社会を大きく変えるには法律が重要だと考え、法律に関わる仕事として弁護士を目指すことに決め、立教大学法学部に進学します。
アメリカ大使館主宰の女性のリーダーシップ育成プログラムへの参加。ゼミでの法哲学やジェンダーの研究。イベントをとおして女性が夢を見つけて輝ける社会を目指す学生団体の設立――。
大学では、興味を持ったことに果敢に取り組み、よりいっそう活動の場を広げていきました。
「この時期、広く浅くチャレンジすることで、いろんな人と出会い、さまざまな経験をして、将来のイメージが具体的になっていきました」と振り返ります。
そして、大学3年生のときに参加した、5ヶ月間のフィジーでの国連ユースボランティアの経験が、大倉さんの将来のイメージを決定づけました。
当時、女性に対する暴力の割合が高かったフィジーでは、女性の起業を支援することで経済的自立を促し、問題解決をはかるプロジェクトが行なわれていました。
そんな中、国連機関で広報官として働き、ボランティアの採用や受け入れのサポートをしていた大倉さんに、フィジーの女性起業支援について取材する機会が訪れます。
「取材をとおして、自分で仕事をはじめた多くの女性が輝き出すのを目の当たりにしました。手芸品をつくったりして自立的に生活を送る姿は自由で楽しそうでした。その女性たちの起業を支えていたのが国際弁護士だったんです」。
この体験から、大倉さんは「女性起業家を支援する“国際弁護士”として世界をよくしていく」という夢を抱くようになりました。
「“広く浅く”チャレンジして夢を明確にした私は、ここから“狭く深く”夢を掘り下げていきました」。
フィジーから帰国した大倉さんは、国際弁護士になる夢を実現するために法科大学院受験を決意。さらに、弁護士という職業が女の子にとって憧れの存在になるように、そして、ボランティアの重要性をもっと多くの人に伝えられるようにと、“ミス・インターナショナル日本代表選出大会”に挑戦。
コンテストのためにスピーチやウォーキングを鍛え、努力を重ねた結果、準ミス・インターナショナル日本代表5位に選出され、目指していた法科大学院にも合格。一歩一歩着実に歩みを進めます。
「キャリア構築には2つの段階があると思います。ひとつ目の段階は、夢が見つかるまでは“広く浅く”とにかくチャレンジすること。ふたつ目は、夢が見つかったら“狭く深く”努力をするということです」。
たくさんのことに挑戦して“国際弁護士になる”という夢を見つけ出した大倉さん。現在は、「司法試験合格」「ニューヨーク弁護士試験合格」という目標を立て、夢の実現に向かってさらなる挑戦を続けています。
「最後に私がみなさんに伝えたいことは、“チャンスがあれば、絶対チャレンジ!”です。いろいろな挑戦をすれば、やりたいことや自分がどういう人なのかも見えてきます。失敗をしても失うもののない学生時代は、チャンスもやってきやすい時期です。ぜひみなさんもチャレンジしてみてください!」
迷いなく伝えられることばは、夢へのエネルギーと経験に裏打ちされた自信に満ちて、きらりと輝きを放っていました。
「一歩を踏み出す勇気はどうしたら持つことができますか?」「国際弁護士ってどんな仕事ですか?」「いろいろやりたいけど、やりたいことがわからなくなりました・・。どうすればいいでしょうか?」
講義後、先輩のもとに集まったたくさんの生徒たちから次々と質問が飛び出します。
ユーモアも交えながら真摯に応答する大倉さんに勇気をもらった生徒たちは、明るい笑顔で教室を後にしました。
夢を見つけるまで、そして、夢を見つけた今も、全身全霊で挑戦し続けている大倉さん。
これから進路やキャリア選択を考える後輩たちに、夢を持って挑戦することの素晴らしさと心からのエールを届けました。