国際社会で活躍できる力を磨くため、毎年実行委員の生徒が中心になって開催している「たまがわ会議」。
今年は、“Japan that makes us”をテーマに、7月14日から16日の3日間、約70名の生徒が参加して、さまざまなワークショップやディスカッションが実施されました。
1日目は、参加者たちが各国の大使としてそれぞれの立場から議論をする「模擬国連」。例年どおりの活発な活動が行われました。
2日目は、ユニクロが主催する「届けよう、服の力」プロジェクトについて、担当の阿部良平さん、安田徹さん、安部由紀子さんにお話をお聞きし、ワークショップを実施しました。
「どうして私たちは服を着るのでしょう?」という問いかけから、生徒たちは服の根本的な意味を知り、服がないことで難民の命が脅かされる事実に驚きながら、プロジェクトの意義を実感します。
講義について感じたことを各チームで共有した後、このプロジェクトに協力するための“服を集める箱”づくりをしました。
「どうしたら見た人が服を寄付したくなるか?」を話し合いながら、楽しいアイディアに絶えず笑い声が響いていました。
午後は、服を集める箱のデザインのコンセプトを発表。
「難民の子供たちは自分たちとは違うと思っていたけど、同じだとわかりました。私たちが喜ぶことを難民の子にもしてあげたい」「“服の力”とは、“服を届けることで生まれる笑顔”だと思います」と、それぞれの学びを伝えて、国際問題解決のために自分たちができることを理解していきました。
続いて、チームで協力して課題にチャレンジする「玉川アドベンチャープログラム(TAP)」について、玉川大学TAPセンター・センター長の難波克己さんからお話をお聞きしました。
「アドベンチャーとは、“新しい自分を迎えること”です」。例え話やユーモアを交えた講義にみんなワクワク。
講義の後はワークを体験します。2人で一本のペンを持って家の絵を描くワークや、全員で輪になって順番に手をたたくワークをとおして、脳の仕組みや視点を変えて見ることを学び、仲間と協力して課題に取り組む楽しさを実感しました。
最終日である3日目の午前中は、TAPの総合的なワークを実践しました。
アイスブレイクで打ち解け合った後、紙に描かれたコスモスの花びら1枚1枚に、“大切にしていること”を書き、チームのメンバーにシェア。
自分の内面を見つめることに苦戦する生徒もいましたが、仲間と話していくうちに自分の中にあった大切なことに気づき、徐々に花びらが埋まっていきました。
「隣の人と手足をくっつけて、タイミングを合わせて立ち上がってください」。次に行われたワークでは、身体をとおして仲間と協力することを実感します。
生徒たちは、失敗と話し合いを繰り返しながら、画期的なアイディアで課題を成功させ、達成した歓びを分かち合いました。
午後は、ブラジル人留学生6名を迎えて、「日本の歌に合わせてダンスをつくる」という課題に挑戦。
このワークのコンセプトは、「外国の人と関わるには、まずは日本のことを知ろう」。
課題曲が渡されると、日本語が苦手な留学生も、ダンスが苦手な生徒も一緒に歌詞を読み解き、イメージを伝え合って、曲の世界観を表現するダンスを創作していきました。
「すごーい」「かわいい~」。各チームのダンスに会場は拍手喝采。
自分を理解し、心を開放してコミュニケーションすることで、国や学年の違いを越えて絆を生み、課題解決につながるという手応えをつかみました。
最後に、校舎中央のアトリウムに集合して、この3日間を振り返ります。
「留学生の意見を聞いてひとつのものをつくり上げることで、コミュニケーションや課題に取り組む力を学べました」
「積極的に話し合い、国際理解をする力を身につけることができました」
「今日のダンスでみんな楽しめたし、他の学年とも関われた。ダンスをとおして世界中の人と関われる。ラウンドスクエア以外でも楽しみたいと思いました」。
みんなの感想にそれぞれが共感した後、3日間の模様を映し出した写真スライドを上映。
それぞれに刻んだ時間を胸に、今年の「たまがわ会議」が終了しました。
未来に向かって歩み出す仲間たちと一緒に、国際社会で活躍するためのたくさんのヒントを得た3日間でした。
【講師プロフィール】
阿部 良平 Abe Ryohei
株式会社ユニクロ 営業本部営業支援部 FC・事業連携チームSV。96年玉川大学文学部卒業後、2000年8月株式会社ユニクロに入社。さまざまな支店での店長を経て、2013年より現職。小中学生に、“届けよう、服のチカラ”プロジェクトの授業を行っている。
安部 由起子 Abe Yukiko
株式会社ユニクロ 相模大野ステーションスクエア店店長。2003年玉川大学文学部卒業後、株式会社ユニクロに新卒入社。2006年からは店長として、静岡・岩手・宮城・東京・千葉・神奈川で勤務。2015年、現店舗に配属。
安田 徹 Yasuda Toru
1999年玉川大学文学部卒業後、東海大学附属相模高等学校 体育科勤務。株式会社ファーストリテイリングに入社し、静岡市に配属。日本各地で店長として勤務し、2012年に中国上海オフィスでの勤務も経験。2015年より現職。
難波克己 Nanba Katsumi
玉川大学 TAPセンター センター長。
ルイビル大学、スプリングフィールド大学大学院で、教育学やスポーツ心理学を学び、2010年玉川大学博士課程工学研究科脳情報修了。1995年プロジェクト・アドベンチャー・ジャパンを設立し、その普及と指導者育成に携わる。現在は大学で研究と教育現場における実践活動に注力している。