内閣府国際平和協力本部事務局(PKO)より藤井広重さんを迎えて行われた今回のグローバルキャリア講座。「貧困」「人権」「国際協力」のテーマで、国際社会でのPKOの役割についてお話をお聞きしました。
はじめに“PKOの全体像”についてのお話。国際法を専門とされている藤井さんは、普段は、南スーダンでの調査、大学での講話やPKOに派遣される自衛隊の方への研修を担当していらっしゃいます。
まずは南スーダンでの活動の様子が映像で紹介され、現地の生々しい状況を実感するところからスタートしました。
「難しく感じる人もいるかもしれませんが、ひとことで言うとPKOは、“平和への意志をつなぐこと”だと私は思っています。今日はそのことについてお話していきます」と藤井さん。
「PKOは現在いくつの地域で活動していると思いますか?」「誰がPKOの活動内容を決めているでしょうか?」と問いかけながら、たくさんの写真とともに国連とPKOが平和のためにどのような活動をしているのかを解説。生徒たちもメモを取りながら真剣に聞き入ります。
「国連は今年創設70周年。これまでに71のPKOが世界中で活動を行ってきました。それは単純に考えても一年に一度、世界のどこかで問題が起こり続けている現実を示す数字でもあります」。そう伝える藤井さんのことばは、そこにいる誰もが今一度世界の平和について考えさせられるものでした。
続いて、“具体的な活動内容”についてのお話。
「現地の施設を整備するために日本から施設部隊が派遣されます。その地域の病院・学校・会社など、多くの人と協力しながら活動します」と、南スーダンPKOの広範にわたる活動が説明されました。
どんな場所で、どんな人がどんなことをしているのか、ニュースだけではわからなかったことがリアルに伝わってきます。
藤井さんが強くおっしゃっていたのは、「多くの国・組織・人が関わり、協力し合っている」ということ。
1948年に初めてのPKOが活動を開始して以来、途切れることなく平和に向かって協力するPKOの意義と、今この瞬間も南スーダンで活動が行われている現実を知ることができました。
「緊急の問題を抱えて平和を望んでいる地域で安全な環境をつくりながら、インフラ整備もいち早く行い、PKOから政府や他の国連機関にその任務が引き継がれていく。そのように課題を抱える地域の平和への意志をすくいあげ、次につなげていくのが、PKOの役割です」と最後に伝える藤井さん。冒頭の“PKOは平和への意志をつなぐこと”の意味がはっきりと伝わってきます。
講義後、南スーダンにいる国際平和協力隊員へのメッセージの協力を依頼され、平和への願いを込めたことばを書き記す生徒たち。
この日、生徒たちに届けられた「平和な世界を実現する」という意志は、これから先の世界を動かす礎となるひとりひとりの心に強く響いていました。