グローバルキャリア講座

祖国のためにした堅い決意

October 22, 2015

いつもより多くの生徒が集まり、急いで椅子を追加して行われた今回のグローバルキャリア講座。 政策研究大学院大学(GRIPS)研究生のバズガ・セィエッドさんを迎え、全て英語での講座が行われました。

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母国のパキスタンで、7年間、パキスタン政府の職員として従事し、国際関係や国の安全について研究するために日本に滞在されているセィエッドさん。パキスタンが直面している現実と、その中で築いてきたご自身のキャリアについてお話いただきました。

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まず、パキスタンがどういう国なのか、人口や宗教といった概要と、戦争やテロの歴史について説明。 その上で、主義・主張を通すという目的のために無秩序に行われるテロが横行し、政治機関の施設や政治家だけでなく、病院や小学校などの民間施設さえも標的にされている現実を伝えられました。

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「テロによって家族を失った知人を目の当たりにしたとき、テロの問題が身近に起こり得るということを強く実感させられました」と当時を振り返って話すその声には、忘れることのできない悲しみが感じられました。

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この出来事が原点となって、セィエッドさんはパキスタン政府で働くことを決意し、難関の試験に合格。職員としてテロ対策に力を尽くすようになります。 「この現状を改善しようと試みてもなかなかうまくいきませんが、それでも私はパキスタンを変えていくと決心しました。誰かが決心してやらなければ、何も解決しないのです」 穏やかな口調の中に込められた実感と堅い決意が、強く胸に迫ってきました

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「優れた行政、整った法律、素晴らしい教育など、パキスタンは日本から学べることがたくさんあります。研究を終えて祖国に戻り、パキスタンの社会を日本のように安全にすることが私の目標です」 7年間パキスタン政府の職員として従事してきたセィエッドさんのことばは、平和があたりまえの環境が、どれほど恵まれているのか、あらためて気づかされるものでした。

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「日本人はパキスタンの現状を改善するために何をすればいいですか?」 生徒からの質問に、「まずはパキスタンで今何が起こっているのかを知ってください」と答えるセィエッドさん。

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「ニュースで子どもたちが学校に通えないと聞きましたが本当ですか?」「敵対していると言われる他国との関係は、実際のところどうなんでしょうか?」。その後は、パキスタンのことを知ろうと積極的な質問が続きました。

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セィエッドさんの中心にある揺るぎない意志を感じ取った生徒たち。 “世界の中の自分”として、当事者意識を持って国際問題を見ていくことの大切さを知るとともに、祖国の未来を想い、信じて行動するセィエッドさんの姿に多くの生徒が共鳴していました。

Lecturer Profile
バズガ・セィエッド
Bazgha Syed
政策研究大学院大学(GRIPS)研究生。国内で多発するテロを憂慮し、英語の教授を辞してパキスタン政府に勤務。博士課程:リージョナル&グローバルガバナンスを取得。