「国際協力」「外交」のテーマで行われた今回のグローバルキャリア講座。
若い世代がグローバルに活躍するための支援活動をされている、国際開発機構(FASID)理事長の杉下恒夫さんを講師に迎え、“国際人になるために必要なこと”についてお話をお聞きしました。
杉下さんは、国際ジャーナリストとして発展途上国を中心に100カ国以上のさまざまな現場を取材し、アフリカの飢餓や難民などの現状を伝えてこられました。
地平線いっぱいにテントが広がる大規模な難民キャンプに驚いた話や、寝る間も惜しんで命を救う国境なき医師団のプロフェッショナルな姿勢に感動した話など、実際にその地で見てきた事実には、報道ではわからない生々しさ、迫力があり、生徒たちもぐいぐい引き込まれるように聞いていました。
ある難民キャンプで偶然目撃した光景が、ジャーナリストとしての原体験になったと話す杉下さん。周囲が寝静まった真夜中、死んでしまった子どもを抱き、うずくまって泣いている母親の姿に強い衝撃を覚えたそうです。
「人の命とはなんて尊いものなんだろう・・」。当時の様子を思い出しながら伝えるその目には涙が浮かんでいました。
「こんな悲惨な現実が世の中にある。自分がやるべきことは“伝えること”。日本の人にこの現実を知ってもらいたい」。
杉下さんは、その取材の帰りの飛行機の中で決意しました。
それからは、“伝えること”への使命が、国際ジャーナリストとして働いている間も、引退した後も、杉下さんを常に突き動かし続けているのだとおっしゃいます。
「真の国際人は人を言い負かすことはしません。相手をリスペクトし、意見を聞いた上で、きちんと自分の意見を伝える。そうして、相手と自分の意見を合わせて、さらによい意見にすることが重要なのです。ぜひ立派な国際人になってください」。杉下さんからのメッセージは、たくさんのリアルなエピソードとともに力強く生徒に届けられました。
講義の最後には、「いつでもみなさんの相談にのりますよ」と、生徒たちの前途を応援。
世界各国で活躍されてきた杉下さんの“伝えること”への熱意と、人間味にあふれた人柄の中に、真の国際人としての姿を感じ取ることができた講座でした。