グローバルキャリア講座

強く願い続けてつかむ”国際的なキャリア”

June 25, 2015

「国際協力」をテーマに行われた7回目のグローバルキャリア講座。
今回は、世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)の本部で活躍されてきた広本正都子さんをお迎えし、世界の活動を支える組織で仕事をするまでの歩みをお話しいただきました。

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「私のこれまでの経験がみなさんのヒントになればと思います」とお話をはじめられた広本さんは、MBAの資格を活かして国際機関で予算・財務などの仕事をされてきました。
「自分の専門分野を持って海外で働く」―。それは広本さんが学生時代から考えていたことでした。

学生時代は英会話学校に行ったり、アメリカのテレビ番組を見たりと、常に「海外に行くんだ」という想いを持ち続けていました。英語の勉強はとても大変でしたが、やりたいことを実現するためには必要なことだからと打ち込んでいたそうです。

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就職活動では、海外で働くなら専門性が大事だと考え、MBAを取る留学制度のある会社を探して入社。数年後にはアメリカの大学でMBAを取得しました。日本の会社に戻って3年が経った頃、学生のときから目指していた“海外で働くこと”を再び考えるようになりました。

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特に、“国際機関で働くこと”に強く惹かれていた広本さん。それは、留学時代のある授業がきっかけでした。“擬似コミュニティ”を体験するその授業は、20人程の学生が富裕層、中間層、貧困層に分かれて過ごす合宿形式のもの。貧困層は、冬の寒い廊下に放置されて食事も与えられず、感情的になり、中間、富裕層の提案に聞く耳を持てなくなっていきました。

授業の最後に先生が言った、「この大学で学んでいるみなさんは富裕層に属します」ということばを聞いたとき、はっきりと自分の立場を認識し、「いつか自分は社会に貢献したい」「国際協力をしたい」と願うようになったそうです。

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その後、広本さんは、その願いを実現するための日々を送りはじめます。会社を辞め、外務省の主催する試験を受けたり、NGOで働いたりしながらいろいろな可能性を探っていました。
そんなある日、ILOの求人広告を見つけたものの「自分にはハードルが高い」と受けるのを諦めていた広本さんに、「私だったら試しに応募するけどな」と背中を押す何気ないことばを、雑談の中で受け取ったのだそうです。思い直し、急いで応募。結果、みごとに合格し、長い間の“願い”をかなえました。

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「みなさんも、興味のあることをグローバルな形で活かすことができます。想いを持ち続けてください。そして身近な人に話してみてください」。自らそれを実現し、キャリアを積んでこられた確信に満ちたことばは、生徒たちの気持ちにまっすぐ届きました。

「東洋と西洋をつなげるような活動をしていきたいと思っています」。国際機関の本部で実感した英語圏とアジアの人々のことばのハンデキャップや、海外で東日本大震災を知って感じた“日本人”としての自分、国際人としての視野とともに、この先への想いも伝えてくださいました。
現在はジュネーブに拠点を置きながら、ボランティアや講演などさまざまな活動に取り組まれています。

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「自分の願いを強く思って行動していくと、環境に助けられるような小さな出来事がたくさん起こってきます」と話される広本さんに、講義が終わった後も、「どう願いを実現するのか?」を熱心に相談する生徒の姿がありました。

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想いを実現する強さと貢献を願う優しさが伝わる今回の講義で、生徒たちは「国際協力」とは、そうした小さな想いの積み重ねを大切にすることからはじまると、それぞれに感じ取っていました。

Lecturer Profile
広本 正都子
Setsuko Hiromoto
お茶の水女子大学英文科卒業。国際的に活躍することを志し、企業派遣にて、ペンシルバニア大学からMBA(経営学修士)を取得。その後、外務省のJPOに合格し研修を受けたが、国際労働機関(ILO)から直接職を得て海外に移住。さらに世界保健機関(WHO)の予算作成部で経理財務システムの作成などに携わり、長年に渡り国際機関の本部で活躍。現在は退職しジュネーブ近郊に在住、フリーランスとして活動している。