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主体的な探求の成果と学び

February 16, 2019

2018年度の玉川学園SGHプロジェクトを締めくくる「SGH・SSH生徒研究発表会・成果報告会」が開催されました。

玉川学園が指定を受けた、「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」と「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)※1」のプログラムに取り組む約200名の生徒たちが合同で、1年間の研究成果を報告します。

※1・・・文部科学省に指定された、先進的な理数教育を実施するとともに、高大接続の在り方について大学との共同研究や、国際性を育むための取組を推進する高等学校のこと。

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研究発表会は、4つの教室に分かれて3チームずつプレゼンテーションをする前半と、10年生から12年生までの147名の生徒が一斉にポスターセッションをする後半の2部構成で開催。
全国から中学校・高校教員、大学教授、独立行政法人の方々、約50名の見学者が訪れました。

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「みなさんには、“文理という領域を越えて学ぶ姿勢”や“答えのない課題を主体的に探求していく力”を身につけてほしいです」

開会式で、玉川学園高等部教育部長の長谷部先生より会の目的が伝えられて、発表会がスタートしました。

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SGHに取り組んだ3つのチームは、それぞれに、「ラウンドスクエア国際会議2018」「石油価格から見たサウジアラビアとイランの関係」「日本における模擬国連の現状と本質」という研究テーマでプレゼンテーション。
現地訪問の体験、自身の活動の成果と改善点、研究内容の考察と提言をまとめて発表しました。

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「模擬国連を開催する本来の目的を認知させるために5つの施策を実施しました」
「一方的に自分の価値観を発信するだけでなく、相手の価値観を受け入れる姿勢が重要だと気づきました」

自ら体験し、試行錯誤してきたことを伝えることばは強い説得力があり、多くの生徒が共感しながら聞いていました。

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「今後どんどん増えていく模擬国連の質を高めていくにはどうするべきだと思いますか?」
「ラウンドスクエアに参加中、“自分の姿勢が変わった”と感じたきっかけはありましたか?」

聞いていた生徒たちも、研究テーマに対して当事者の目線から質問を投げかけ、会場全体でテーマについて話し合っていく空気をつくっていました。

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後半のポスターセッションは、11の教室に分かれて発表を行います。SGH・SSHのさまざまなテーマの発表を生徒同士が相互に見られるように、発表時間を3回に区切って進行されました。

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玉川SGHプログラムに取り組む69名の生徒は、「アフリカンスタディーズ」「ヨーロピアンスタディーズ」「模擬国連」「ラウンドスクエア」のグループに分かれて発表。

「日本のODAはアフリカでの貧困解決につながるのか?」「紛争地域における公正とは何か?」「ユダヤ人迫害の起源」「イラク戦争後の平和構築」といったテーマのもと、課題について調べたこと、改善策の提案、取り組んだ感想を伝えました。

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「南アフリカの不法居住地域を訪問して現地の方にお話を伺い、教育・労働などさまざまな要素が複雑に絡み合っていて問題の根深さを感じました。私はこの問題を解決するために、将来は青年海外協力隊に参加したいです」
「人権問題について調べてみると、海外での問題意識の高さや取り組み事例の多さに驚きました。それに比べて日本では問題意識が低いので、その意識を高めていきたいと思いました」。

リサーチしたことはもちろん、自分のアクションについてもしっかりとした考えを述べて見学者に訴えかける生徒たち。問題に対して真剣に向き合う、ひとりひとりの姿勢と覚悟が伝わりました。

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「宗教や文化背景が根強いことで、改善が難しい地域での人権問題については、どう乗り越えるべきだと思いますか?」
「貧困は、遠い問題に感じますが、私たちにできることはなんだと思いますか?」

見学者もただ聞くだけではなく、本質をついた鋭い質問を投げかけます。

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「人間として、自分がされて嫌なことは、文化や宗教に関係なく根絶すべきだと思っています」
「“私たちは偏見を持っているんだ”という認識を持つことが大事だと思います。その上で自分に何ができるのかを考えていきたいです」

そして、即座に率直な意見で応答する発表者。
いたるところでそんなやりとりが行われ、発表会場はすっかり熱気に包まれていました。

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「社会では、自分で課題を見つけて解決していく力が求められています。SGH・SSHはともに探究をとおして主体性を身につけるための取り組みです。今日得られたこと、気づいたことを生かして、今後さらに”自分で考えて解決する力”を伸ばしていってください」

閉会式では、SSHを支援する国立研究開発法人科学技術振興機構の宮崎さんより、激励のことばが贈られました。

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研究発表会終了後に行われた教員による成果報告会では、5年間の玉川SGHプロジェクトの取り組みが、大きな成果につながったことが報告されました。

「卒業生への追跡調査を行ったところ、現生徒だけでなく大学進学した生徒も、国際関連の進路を希望している割合が大きくなったことがわかりました」

何かしら使えそう

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自分で考え、体験し、学んできた1年間の集大成の場で、多種多様な意見を持つ多くの仲間たちの視点から、さらなる気づきを得た生徒たち。その表情は、将来に向けて踏み出すための力を手に入れた達成感に満ちていました。