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文系理系の交流が生み出す刺激と学び

March 12, 2018

今年度の玉川学園SGHの取り組みを締めくくる、「SGH SSH生徒研究発表会」が開催されました。

玉川学園は、SGH(スーパーグローバルハイスクール)と共に、先進的な理数教育を推進するSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定校として活動しています。
今回の合同発表会は、SGHもSSHも課題を見つけて答えを探究していく取り組みであり、今後の国際的な学びや、学問を横断するつながりの必要性を見据えた、はじめての試みです。

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発表会は、SGH・SSHそれぞれの生徒が4人ずつ研究発表を行う前半と、10年生から12年生までの164名の生徒がポスター発表する後半の2部構成。全国の中学高校の教員、理系関連の団体・企業・NGOの方々、約50名の見学者も訪れました。

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前半に発表した、SGHの生徒4名の研究テーマは、「フェアトレード教育の実践」「ラウンドスクエア国際会議2017」「多文化共生とマスメディア」「中東情勢の変遷とパラダイムシフト」。
各々が、研究の動機、解説や考察、さらに模擬授業や現地訪問など自らの体験に基づいて感じたことを伝えていきます。

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「フェアトレードの認知度を上げるために授業を行いました。授業後のアンケートで、多くの人がフェアトレードを理解して、その必要性を感じたことがわかりました」「マスメディアは一部の情報を伝えているのであり、必ずしも事実とは限らないと思いました。直接見たり聞いたりすることが大切なのではないでしょうか」。
数ヶ月にわたって積み重ねてきた研究の成果を、淀みなく説明。

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「メリットがあるのはわかったのですが、逆にどのようなデメリットが生じるのでしょうか?」「中東情勢の安定化を測るには、どうすればいいと思いますか?」。
真剣に耳を傾けていた生徒たちから上がる核心を突く質問にも、ひとつひとつしっかりと応答。会場は、互いに刺激し高め合う空気でみなぎっていました。

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後半は、16の教室を使って、SGH50名、SSH114名の生徒たちが研究成果をポスターで発表。各教室では、生徒同士が互いの発表を見合えるよう、2回に分けて進行。

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「日本は金銭的な援助はしていますが、難民の受け入れは消極的なのが現状です」「児童労働を完全になくすのは困難ですが、まずは自分たちが少しでも関心を持つことが大切だと思います」。
どの生徒も、面識のない見学者に対してもものおじすることなく、相手の目を見て堂々と伝えます。

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「なぜこのテーマにしましたか?」「UNCHRでは募金はどんな活動に使われているの?」「このグラフはどうしてこの年に数が減っているんですか?」。
発表後には、聞いていた生徒たちから積極的な質問が上がり、それにわかりやすく解説するなど活発に交流。文系・理系に関わらず、異なる分野にも理解を深めていきたいという意欲であふれていました。

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また、会場のあちこちでディスカッションをする姿も見られました。
「スウェーデンの税金が高いことをデメリットにしていますが、実は大きなメリットもありますよ」「なぜこの条約を提案するのか?民間でもできることだと思いました」「彼らの人権は“与えられた”のではなく、“勝ち取ったのだ”と思います」。議論をとおして、異なる視点からの鋭い質問や的確な意見にはっとしたり、 “当たり前”だと思っていたことを見直したり、たくさんの気づきが生まれていました。

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「模擬国連はどのようにやっているんですか?やっているところを見に行きたいです」「提案している国際協力の啓発ポスターは、まるでプロがつくったみたいだね」「現地に行ったことありますが、はじめてこの事実を知りました」。訪れた見学者からの称賛を受けて、嬉しそうな笑顔がこぼれます。

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「イギリスのEU離脱はデメリットが多いと思っていましたが、見てくれた人と話すうちにメリットがあることに気づきました」「『保育士の低賃金を課題にしていますが、どうすれば上がると思いますか?』という質問に答えられなかったことで、考え直すポイントを見つけました」と感想を伝える生徒たち。客観的な意見を得て新たな視点を知ることや、多様性の大事さを実感していました。

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活発な意見交換、違う考えや知識を持つ人との交流によって、多くの刺激と新しい学びを体験した、今回の合同発表会。生徒たちは、自分の課題を発見し、さらに研究を深めて国際社会の貢献に近づいていくための基礎力を強めました。