グローバルキャリア講座

“初心”が導く自らのキャリア

September 8, 2016

世界で活躍する方々から直接お話を聞ける機会として人気の「グローバルキャリア講座」。新学期最初の講座には、150名以上の生徒が集まりました。

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今回の講師は、紛争の予防と解決、自然災害地域への支援を行う国際協力NGO「ピースウィンズ・ジャパン」の牛田眞也子さん。牛田さんの現在のキャリアへの道のりと国際貢献についてお話しいただきました。

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「今日はグローバルキャリア講座ということで、私がなぜ今のキャリアに至ったかをお話します」。
そう言って、ご自身の原点となった小学生のときのお話から講座がはじまりました。

平和教育が盛んな地域にあった小学校で催された劇。牛田さんはその劇で、原爆で亡くなった家族の母親役を演じました。役をとおして理解したことは、「戦争はいけないことだ。でも戦争はもうなくなったんだ」ということでした。
けれどもその後、大学受験のために新聞を読み、劇で体験したあのようなことがまだ世界に起きているのを知ります。
「世界平和に貢献したい。戦争をなくしたいという想いを抱くようになりました」。

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そして、将来に迷っていた大学生の頃、図書館でふと目にした本のタイトルにあった“紛争予防”ということば。それをきっかけに、牛田さん自身も小学生の頃、“戦争はあってはいけない”と考えていたことを思い出します。

その後は、人権擁護団体でインターンをしたり、アメリカの大学院で「紛争予防」を学んだり、目標に向かってできることを精一杯実行に移してきた牛田さん。その行動を支え、仕事を選ぶ決め手となったのは、その小学生の時の想いでした。

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大学院卒業後は、「“必要な人に、必要な支援を”」をモットーに、世界の11の地域に対し、緊急人道支援をはじめ、復興や開発を支援する国際協力NGOピースウィンズ・ジャパンで活動をスタート。現在はイラクとアフガニスタンでの緊急支援活動、復興・開発支援に尽力されています。

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エネルギッシュにテンポよく語られるお話は、「アメリカのロックバンド、“ボン・ジョヴィ”の歌詞を英語で理解したい」「インドネシア語を学ぶため猛勉強した」といったエピソードから、災害地での仕事の話まで、どれも自然体で親しみやすく、生徒たちはぐっと引きこまれるように聞いていました。

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「現地で研修事業を一緒に行っているアフガニスタンの人が、“紛争を予防するには教育が大事”と言っていました。今、次世代を担うみなさんの前で話していることも、とても大事な平和教育なんです」。

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「今だからこそできるいろいろな経験をしてください。行動し、実際に自分の目で見て体験することが重要です。そして、初心を忘れないでください。私がどんなに大変なことがあってもがんばることができたのは、“初心”があったからです」
最後のメッセージに込められた大切な想いが、まっすぐに生徒たちの心に届いていました。

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講義後、「自分だったら、どのように紛争予防ができるのだろうか」と質問しにやってきた生徒たちに、牛田さんはひとりひとり丁寧に答えてくださいました。

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自分の「原点」を大切にすること、それが将来のキャリアにつながることを学んだ生徒たち。
初心を胸に世界に飛び出した牛田さんのアクティブなエネルギーが伝播し、今だからこそできることをやり、人生を後悔しないように生きることの清々しさを感じる講座となりました。

Lecturer Profile
牛田 眞也子
Mayako Ushida
2001年3月東京外国語大学インドネシア語学科卒業。2003年5月米国タフツ大学フレッチャースクール修士課程法外交修士号取得。大学・大学院時代、人権擁護団体でのインターンや国内にいる難民申請者を支援する全国難民弁護団連絡会議の初代コーディネーター、ユニセフ駐日事務所インターンを経て、2003年8月に国際協力NGOピースウィンズ・ジャパンに就職。以来、イラク、東ティモール、アフガニスタン、イラン、インドネシアなど計12か国で東京と現場で緊急人道支援をはじめ、復興開発支援活動に従事。