アフリカを訪問し、発展途上国の貧困や人権について体験から学ぶ研修プログラム「アフリカン・スタディーズ」。
8回目の今年は、高校1~3年生の17名が参加し、7月22日から8月2日の12日間、ボツワナ共和国と南アフリカ共和国を訪問しました。
成田から香港を経由し、南アフリカのヨハネスブルクに到着。
ピーランスバーグ国立公園で、野生のゾウやサイ、ライオンを目の当たりにして、さっそくアフリカの自然を満喫します。
ボツワナに到着後は、玉川学園の提携校、マルアプラ校の学生寮に宿泊。翌日は、同校の授業に参加して日本とボツワナの文化に関するテーマで準備したレポートをプレゼン。
当初は異なる環境の中で緊張していた生徒たちですが、寮で話しかけてきたりプレゼンに興味を持って質問してきたりと、ボツワナの学生たちの積極的でフレンドリーな雰囲気にすぐに打ち解け、国際交流を楽しみました。
授業参加後は、学生寮から車で2時間ほどの場所にあるムシャーナ村を訪問。村の貧しい人たちに支援物資やお菓子を届けに向かった先で待っていたのは、ダウンジャケットを着ていても寒いほどの冷たい風が吹く中で半ズボンに裸足姿の子どもたちでした。
お菓子を手渡した子どもたちの笑顔に触れる一方で、村の規則で、お菓子をもらうことのできない子どもがいることに戸惑う生徒たち。バスまでついてきた子どもたちの手に何も渡せないことに心が痛み、涙が溢れます。想像以上の「貧困」の現実を知り、その厳しさを実感しました。
ボツワナでの3日目は、ボツワナ大学を訪問し、近郊の村での文化アクティビティに参加。村の文化や習慣を体験したことで、「もっと触れたい、もっと知りたい」という気持ちが大きく高まりました。
ボツワナ最終日は、JICAハボロネ事務所およびJICAプロジェクトを視察。
午前中にJICAの活動についての講義を受け、午後は、農業や孤児院、ゴミの分別所を見学し、現地スタッフからお話をお聞きしました。
ボツワナでの日程を終え、南アフリカに移動してから最初に訪問したのはタウンシップ。
アパルトヘイト時代の隔離政策で、有色人種が強制的に住まわされた居住区には、今もなお当時の暮らしが残されています。
舗装されていない道路、異臭が漂う幼稚園、窓もなく太陽の光が差し込まない家々。片や、立派な家が立ち並ぶ高級住宅街の開発も進むこの地区の「格差」に驚きを隠せない生徒たち。
「もっとこの問題について理解を深めたい」「このことを多くの人に伝えないといけない」。
それぞれが大きなショックを受けつつも、“今の自分にできることは何か”と考えを巡らせ、この問題への意識をより強くしていました。南アフリカの歴史的にも重要な意味を持つこの土地の訪問は、心を揺さぶられる大きな体験になりました。
その後、南アフリカでは、ロベン島、カーステンボッシュ植物園、ボルダーズビーチを見学し、最後に、アフリカ最南端のケープポイントと喜望峰を訪問。
自然の雄大さ、美しさを全身で感じ、開放感いっぱいの笑顔で、今回のプログラムを締めくくる時間を過ごしました。
異文化を体験し実感し続けた生徒たち。“貧困や格差に対してできること”を深く考えたり、留学・国際交流やボランティアなど将来の目標を描いたり、それぞれの“きっかけ”がたくさん詰まった、かけがえのない10日間になりました。