グローバルキャリア講座

“やりたいこと”から得た壁を乗り越える力

January 18, 2018

昼休みに行うグローバルキャリア講座、今年度最後の講師としてお話されたのは、玉川大学農学部2年生の櫻井茉奈さん。所属している「玉川大学ユネスコクラブ」での活動と経験について、後輩たちに伝えました。

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「国際的視野を養い、世界のさまざまな方と交流する」という目的を掲げて2003年に設立された玉川ユネスコクラブ。以来、平和な未来の実現のために、「異文化交流」「教育支援」「地域貢献」 を軸にしたイベントを企画・運営する団体です。
2012年には日本ユネスコ連盟及び東京都ユネスコ連絡協議会に組織登録され、玉川大学文化会の優秀団体賞を3年連続受賞するなど、その活動は高く評価されています。

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現在、玉川ユネスコクラブの主務として精力的に活動する櫻井さんですが、「高校生の頃は、人とあまり話さず、主張しないタイプの人間でした。自分に自信が持てなくて、人前で話したり、クラスや部活でリーダーになる経験も全くありませんでした」と振り返ります。

「友達がやるからと、友達の意見に合わせてサークルを決める人もいますよね?でも、周りに流されるのではなく、自分がやりたいことをやりたい。そして、人と交流できるこの団体で、人とうまく話すことのできない自分を変えたいと思ったんです」。大学に入学してすぐに参加を決めた櫻井さんの胸の内には、そんな想いがありました。

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それからの大学生活は怒濤のように過ぎていきました。
岐阜やネパールなどでのスタディーツアー、アメリカのエバーグリーン大学の学生との交流会、他大学の団体とのワークショップ、全国サミットといったイベント活動をとおしてたくさん人たちと積極的に関わっていきます。

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「最前線で活躍する方々、同世代のエネルギッシュな学生たち、ユネスコクラブの企画を引っ張ってくれる先輩方など、さまざまな人たちと常に“話す”環境は高校の頃とは全く違っていました。目まぐるしく動く日々は新鮮な刺激の連続でした」。

生徒たちは、まるで大学生活を疑似体験するかのように、自分たちの一歩先を走る先輩の話にどんどん引き込まれていきます。

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櫻井さんがこれまでの活動の中で、いちばん大きな影響を受けたのは、ネパール・スタディツアーで取り組んだ“ピースブックプロジェクト”でした。
2015年のネパール大地震の被災地にある学校と寺子屋に、“平和と持続可能性”をテーマにしてつくった絵本を手渡し、子どもたちに応援のメッセージを届けていくものです。

はじめての海外訪問で、多くのカルチャーショックを受けながら仲間たちとプロジェクトを遂行した櫻井さん。絵本を手にした子どもたちが、お返しの手紙を書きはじめた時、被災した国同士が互いの幸せを願い合う温かな交流を感じ、とても大きな感動を受けました。

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「ネパールのことはニュースやネットだけでしか知らず、少しマイナスのイメージを持っていました。でも、実際に現地に行って、そこで暮らす人たちと交流して、人々の明るさや前向きさに気づきました。情報としては知っていることでも、現地に行って自分の目で見ることが大事なのだと思いました」。

たくましく生きるネパールの人々への尊敬と、現地に行って得た実感が込もったことばは、しっかりとした重みを持って生徒たちに伝わっていきました。

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玉川ユネスコクラブ入部をきっかけにして、会議でとことんディスカッションしたり、スタディーツアーで現地の人々と話したりと、たくさんの“話す”経験を積んできた櫻井さん。

「大学に入って“話す”環境に身を置くうちに、自分でも見違えるように、いつの間にかうまく話せるようになっていました。高校生の頃には考えられないくらい人前でも話せるようになったし、周りからも驚かれます」。まっすぐな目を向けて話す様子は堂々と自信に満ちていました。

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「みなさんの数年先の経験を積んでいるだけの自分ですが、最後に伝えたいことがあります。これから、どんな大学に行こうか、将来の仕事をどうするか考える時、今はできないことがあっても、自分にはできないんだと諦めずに、乗り越えていってほしいのです。そして、周りに流されずに自分がやりたいと思うことをやれる人生を送ってください」。
後輩たちに送られたエールには、自分の殻を破り、実際に行動してきた櫻井さんだからこその説得力がありました。

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心に従い、自分の壁を乗り越えていった櫻井さんの姿勢に、身近で現実的な将来像を見出だした生徒たち。今ここからの一歩を踏み出すことの大切さと勇気を受け取りました。

Lecturer Profile
櫻井茉奈
Mana Sakurai
玉川大学農学部生物環境システム学科2年生。「ユネスコクラブ全国サミット」と「ピースブックプロジェクト」が評価され、玉川大学文化会優秀団体賞、2015年から3年連続で受賞している玉川ユネスコクラブの主務として活動。国内外のスタディーツアーやワークショップの企画・運営を行なっている。